地の果ての嘆き 『風土記シンボリック』によせて/ハァモニィベル
 
な『傷口からようこそ』という作品を最近書いたばかりの私としては、作者のその辺りをめぐる視点に興味を覚える。
 こうした現代の問題に通底しつつ、それが予備知識のない人をも撃つような詩、読んで面白く感じるような詩を私は書きたいし、読みたいと思っている。本作品は、そこまでの引力を持つまでに達していないが、視点は開かれており、その点を他と比較して積極的に(わたしは)評価してしまいたいと思う。

 最後に、「道祖神」が傍にあるというアイロニーもついでに深読みしておくと、
外界から来る負の価値を遮る神でありながら、神自身が悪霊だとされて火の中に投げ込まれる祭りもある、そんな境界的・両義的な存在のもつ乾いた悲しみが、ちゃんと風土の中に沈黙したまま在るということなのだろう。
 この詩との対話から、私はそのようなイメージの数々を読んだ。








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