夜警/斎藤旧
夜の帳が緩やかに下りてくる頃
わたしの踏みしめたつま先から伸びた
ひかりの波は町をのみこんでゆく
「展望台」の駐車場の淵は
(世界の淵)
『ほら あの向こうのほうは』
『あの子のなみだがまたたいているのです』
まつげのさきがしろい玉になって
ゆっくりと上下するたび、あのひかりはまたたくのだと。
あなたは言った
(どこかに、その子はいるのだろうか)
(ええ、空の消えてゆくように、どこかに。)
まだあどけなく、頬を染めて
なみだは夜を駈ける
グレイとオレンジの混ざる空に黒々と聳える稜線の隙間を、
ひと息に縫い上げてゆく
最後の縫い目を終えたそれを
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