精通/ただのみきや
は朝陽は永遠に遠かった
目を開けた 予感が外れることはなく――
――窓に張り付いた ちいさな おかっぱ頭
その光景がそのまま青白い死人の手のように私の顏や首筋を弄び
やがて体内に入り込み肺や心臓を掴まれるような気がした
その時奇妙な違和感が下腹部にあった
私は布団に潜りこみ胎児のように丸まって耳を塞いだ
しばらく震えていたが やがて眠りに落ちた
翌日は終日雨だった
風もなく真っ直ぐに降る 雨音は頭のどこかを軽く痺れさせ
うっとりするような 何やら興奮しているような そんな日だった
私は家の中でごろごろと漫画を読んで過ごしたが
夕方になると胸が益々高鳴った
(
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