きみのすべてよ応答せよ(リライト)/木屋 亞万
もうひとりの自分をずっとさがしている
真ん中あたりで欠けてしまった
この身体にしっくり来る相手を
心の凹みと出っ張りにピタッとはまる人を
その人には愛をこめて「きみ」と呼びたい
いつの間にか距離ができてしまわない
話さなくても満たされる
いつまでも話が湧き出てくる
相手を知らないことに焦らなくていい
そんな人を愛しい顔で「きみ」と呼びたい
隣を歩いていると体が引き寄せられる
いつまでも眼を見つめていられる
そばにいるだけで体の強張りが抜けて
余計な空気が抜けていく
どこかにいるのだ「きみ」は
これから先もずっと現れないかもしれない
私が鈍いだけでもう出会って
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