灯り/葉leaf
 



残業は満水のように人の呼吸を苦しくする
亀裂の入った脳髄は眼に映る街を遺失してしまい
人が慌てていると街の灯りは脳髄を修復してくれる
街の灯りは平等な優しさでどんな解釈も強いない
ただ人が居ることを証明し温もりを伝えてくれる
自然も音楽も家族もない人工的な帰宅列車の中で
街の灯りだけが闇をゆく人の孤独を修繕する

街灯は人を待ち続けているが
ただ疲れた人を照らすだけでどんな出会いもない
人が街灯の灯りを挨拶だと気づいてくれる日は来るか
だが人が挨拶を返してきたとき
街灯はそれでもなおただ照らし続けるだけなのだろう
そしていつまでも人を待ち続けるのだろう


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