青の眠り/山人
目を閉じると浮かんでくる
夏の日 ゆるんだ瞳と影が音もなくさまよっていた
あの日私の時間が揺れた
蝉しぐれのカーテンを開ければ
幼子の手を引いた私が歩いている
名もない道を
あてのない夕暮れを
ふと頬に触れるものがある
とどまった重い温度はいなくなり
あきらめと安堵の間にうまれた
淡い風のようなもの
まだ行くべき道の雑踏は消えることがない
幾度も幾度も顔を凍らせ
胸を支配する恐怖の坩堝は消えることがないだろう
頑なに身を固まらせ
直線的なまなざしを向けるでもなく
ただ 淡々と
思考し 動かしてゆく
瞬きをする
その湿っ気を含んだ重い瞼で
脳裏に中に潜む
ブルー
その濃淡の闇と安らぎが
わたしを少し眠らせる
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