浮遊/ホロウ・シカエルボク
スマートフォンのディスプレイ
塗り潰されてく入力画面
この言葉たちの理由は何
入力される意思の理由は何
誰に宛てた手紙でもないはず
誰に向けた言葉でもないはず
ただ迷子になっただけだった
眠りを逃して時の迷子に
壁にかけた安物の時計
充電している携帯電話に時折届く
得体の知れない連中からのメール
全てが静かになるのを待っていた
全てのものが沈黙して目を閉じるのを
いつかは眠れる
くだらないことは考えなくていい
ほんの少しシステムが乱れているだけさ
どこかさほど重要じゃない線が
断線しかけて反応が鈍くなっているだけなんだ
不思議な声で鳴く鳥
やつの顔を一度拝んでみたいけれど
あいにくこの部屋の窓からじゃ見渡せるものはあまりない
もう重要じゃなくなった
たぶん
眠れないことなんて
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