浮遊/ホロウ・シカエルボク
静かに
のたうちながら
瞬間に
翻るものたち
薄明かりの
下で
くるくる
くるくる
退屈しのぎ
口にした旋律は
出鱈目なものだった
二度とない
軌跡を描いて
片隅に
消えた
虫の居所は
行方不明
かろうじて
憤ったような
感情の欠片が
あった
爪切りの後で
逆剥けた指の皮
歯で引きはがして
滲んだ血を舐めた
研いでいない切口で
舌の先を切った
それからずっと
血の味だけがしている
俺はヒトゴロシにはならなかった
カーペットの上の
焼菓子の屑
それがいつのものか
思い出そうとしたけれ
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