とりつくしまという名前の島での物語 オムニバス三篇/るるりら
躍らせようと
昨日の稔は 乾いてくる
乾いた心でも歌える歌をさがして
きのうの歌は とてもちいさな姿で
やさしくなれない空洞を抱えた わたしのところに やってきた
歌の姿は ちいさな小鳥のようだった
つばさやおしりを タクトのように振っている
おもわず 私の乾ききったこの胸は
コントラバスのように低く鳴いた
無我夢中でないていた すると鳥も鳴いていた
しだいに やわらかなリズムがそだち
鳥とわたしのあいだから
ほのあたたかい風が
うまれた
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