寒い夜道を自転車飛ばす/中村 くらげ
 
僕の帰りを待つ妻と子のため自転車飛ばす

一人きり歌いながらお腹空いたと呟きながら


街灯で薄明るい公園の脇 自転車飛ばす

何処かから漂ってきた誰かのためのカレーの匂い


片道3車線の道路をヘッドライトが照らす

あの一台一台に一人以上の人が生きている


ぜえぜえ息を切らして寒い夜道を自転車飛ばす

僕は僕のために家路を急ぎ自転車飛ばす
戻る   Point(6)