鎮魂の歌/藤原絵理子
 

静謐だった森が ざわめき始める
築いている壁の 空だけで繋がった向こうで
錬金術師が 花火を打ち上げる
賑わいが 壁を越えて 壁を通り抜けてくる


あたしの心を鎮めてください
立ち騒ぐ波が 砂の城を壊さぬよう
平穏な祝福を与えてください
夢の欠片を 捨てきれぬ者に


追いかけて 敗れた者
追うことを 諦めた者
握り締めた掌に 傷跡を持つ すべての者に


幻を見ている 老いた日に
やがてはすべて 喜ばしい懐かしさと
穏やかな陽ざしに 包まれて 旅立つことを

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