風のはじまりをあなたは知っていますか?/
木屋 亞万
腰を下ろした彼女がこちらをじっと見つめている。彼女の風に顔が当たって、髪が後ろへなびいていた。目と目があった瞬間に、いつものようにくしゃりと顔を崩して笑った。そして鉄棒でもするように、身体を後ろに倒して見えなくなってしまった。
「風のはじまりをあなたは知っていますか?」
彼女が残したメモにはそのような走り書きがあった。意味はよくわからなかったが、できるなら私はその意味を知りたくはなかった。
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