ふたり。/梓ゆい
「いつか、会わせてください。」と
12歳の女の子は呟いた。
ランドセルを背負い
スクールバスを待つ公民館の前で。
土曜日の夜
すれた匂いの飲み屋前
酔っぱらいを背に隠す27歳の男は
恋人の額にキスをする。
「それじゃあ、気をつけて。」と
タクシーに乗せながら。。
(何故、出会わないの?)
不意に身体を包む夜風が
見知らぬふたりを抱きしめる。
確かにあるはずの縁を
近付けるかの様に・・・・。
(ぺしゃんこのランドセル・首もとのゆるんだYシャツ。)
今はまだ
それぞれの土地で
営みを続けよう・・・・。
子宮の壁が剥がれ落ち
神の許しが下るまで・・・・。
戻る 編 削 Point(0)