春(その4)/ty
 
春は

ただよう白いもやの中に
黄色の細胞が増え続け
形を変えて
流れ続け

桜はぼうぼうと
かたち無く
浮かび上がり

若草がやわらかく
たなびき
獣のように
ゆっくりと地を駆け

すべてが流転して
収拾がつかないように
想はれる
けれど

ひとがそれを
春 と
ひとつの名で
呼ぶ
ことができるのは
なぜなのだろう

戻る   Point(0)