嵐の夜に灯火を照らして/
りゅうのあくび
夕陽は
とっくに海の
向こうへ遠ざかり
小さな港はすでに
黒い夜空に包まれて
ランプの灯火だけが眩しい
雲は随分と重たくて
夜のうちに嵐から
逃げ切れるならば
船を出すのだけれども
そのうち近海は
風と雨とで
ほとんど危険な
海域となるだろう
小型帆船を
停泊する
ことに決めると
船の艤装を整えて
太い綱で幾重にも
岸壁と船とを
繋ぎはじめる
まるで友の命を
想うように
灯火を燃やしながら
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