硝子氷/
凍月
宇宙が透けて見える
透明な空を切り出して
ワイングラスに
緑と青と紫の間を
彷徨う涙の海をボトルに詰めて
111年
封を開け
グラスに注いだ
未来の記憶から
冬山の雪の寒さを持ってきて
液体を冷やした
僕の影は凍って
水面に浮かぶ
気分で揺らぐ氷塊
もう、独りきりでもいいよ カロン
カロン 誰かといたって、辛いだけ
すると君はグラスを持って
君がグラスを持ったから
君の温もりで
僕 の心は
いとも簡単に
溶けてしまう
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