人間の完成/まーつん
 

 赤ん坊だった

 そんな私たちの頭上で
 時計の針は回り出し

 その文字盤の目盛り一つ一つに
 盛りつけられた豊かな時間を
 永遠に等しい一瞬の集積を
 少年や、少女となった
 あなたは生きた

 雨上がりの木の葉から
 一つ、また一つと
 滴り落ちる雫が
 伸び盛りの下生えを育む

 あなたにとっては
 大きな遊び場だった筈の
 この世界が

 同じコースを回り続ける
 競技トラックに変わったのは
 いつの頃からだったろう

 掴んでいた
 玩具を投げ捨て
 何かを追い始めた時
 初めての疲れを味わい

 微笑みを返さない顔に
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