阿武山/るるりら
 
要で 海の存在する地球でのみ 花崗岩ができるらしい。

私たちの命の源もまた、地球の大量の水に煽られて 磨かれ生まれてきた。いわば みかげ石のような 私たちの命だ。
水なくしては 存在してないし存在できない。
しかも 水に揉まれ溺れてしまっては生きてはいけない。

阿多多羅山の山の上に/毎日出てゐる青い空が/智恵子のほんとの空だと云う

阿多多羅山は 元来は「安達太良山」と呼ばれている。
智恵子の知っていた ほんとうの空を 私は知らないが、その御山も太古の海の記憶があるのかもしれない。
安心の「安」があてられていた 安佐地域の阿武山には、危険が ひそんでいた。
智恵子は御山の原始の空を見たのかもしれない。


際立つ水際の御山に、阿多多羅山を思った。
毒々しい嵐だからこそ雲間には光がある。
胸のところに手を置いて 思いを遠く光へと翳した。

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