駆除/ホロウ・シカエルボク
を押さえて刑事がうずくまった、少年は窓から飛び降り、枯れた低木の上に着地した、前々から逃げるときはそれを使おうと考えていた、衝撃は思っていたよりもあったが、ダメージにうずくまる時間は無かった、少年はすぐに走り出した、しかし、足首にひびが入ったらしかった、数十メートル先でがくんと体勢を崩した、そのときだった、銃声がして、少年は崩れ落ちた、威嚇のつもりだったか、それとも命に危険が及ばないところを狙ったものだったのかは判らなかったが、少年は不安定によろけていたのでそんな意図とはまるで違うところに弾丸は命中した、倒れた少年はピクリとも動かなかった、きっと死んでいるだろう、と誰もが思うような状態だった、そしてそれは間違いではなかった…少年は死んだ街の路上で、月が照らすひび割れた道路を見ながら死んでいった、静かだ―それが、彼が最後に思ったことだった。
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