野分/
八布
台風が来る
南の海の匂いと一緒に
置いてきた心を運んでくる
まっすぐに僕を目がけて
近づく力のかたまりに
胸の奥が震える
雲を巻き込む大きな螺旋が
心臓の鼓動と響き合う
どきどき どきどき
命のネジが巻かれていく
雨と大気と幽霊とを
ごちゃごちゃに混ぜ合わせて
台風が来る
僕の街まで
僕を追いかけてくる
存在の祭の中へ
僕を招待するために
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