クール・ダウン/
千波 一也
かぜが
黄色味を帯びてきたから
わたしは防衛じみて
厚着をはじめる
何処とはいえない確かな弱り火の
冷まされゆくのが
伝わりはじめる
決して消させやしないと
言葉を選べば選ぶほど
募るもどかしさが
かぜを呼びこむ
染まりゆく囲いは
火にも火の元にも火の渡りにも
不可欠な区切り
適切な間の
秋は
何をも誰をも連れ去らない
それゆえわたしは秋をさまよう
幾度としれず
巡るたび
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