ばらばらがいいのだ/天野茂典
 
   昨夜22:30分に眠剤を飲んで
   今朝の3時に起きた
   トーストとケーキ
   をコーヒーで食べた
   タバコを吸ってまた寝た
   10:28分に起きた
   カメラのシャッターケースのように
   カーテンは閉めたままだった

   空腹だと詩が書きたくなる
   いい夢を見たわけではない
   シュールな夢を見たわけではない
   モンゴルで遊んだわけでもない
   活字が好きなのだ
   活字がぼくを詩にみちびきいれるのだ

   蟻のように活字は美しい
   活字のようにことばは群れをなしている
   空腹になるとぼくは
   この活字の群れに
   食指が動くのだ
   活字が並んでいればそれでいい

   活字と共に眠り活字と共に食べる

   こんなばらばらな嗜好はない
   こんなばらばらな詩はない
   ばらばらがいいのだ


             2005・01・29

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