傷つくための選択肢/千波 一也
 

断らずに済むのなら
だれも傷めず済むだろう

自分だけが傷めば済むだろう



弱音を吐かずに貫けば
士気は下がらず貫けるだろう

自分だけが背負う重みを貫けるだろう



怒りを顔に表さなければ
おだやかな画が表れるだろう

自分だけが知る火が表れるだろう



いずれの途にも逆はあり
どちらか好きな一方を選びとれる

けれどいずれも
晴れ晴れしさを保障しない



こころが丈夫に出来ているほど
傷つくための選択肢になる

無色にちがいない風のなかで








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