ひとひとひら/ただのみきや
秋の向こうに欹(そばだ)てながら静かに燃える木の葉ほど
老いの門口 艶やかに 靡(なび)くことができようか
ひとによりけり だが
誰も自分が想うほど 美しくも醜くもなく
ままならぬ廻りの果てに染め上げられて
ひとひら在って 震え
選ぶでもなく 漂うように 降り落ちて
風の戯れ 誰かの庭がそっと受け止めると
ひとみから湧く 祈り
枯れ果てるまでのその様(さま)を心に埋める者だけが
知っていればよい 二度とはない色
《ひとひとひら:2014年9月28日》
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