狭道/レシート
下草を踏み 落ち葉を踏み 砂浜を踏み 街路を踏み
怒りをまき散らす
目の前の夾竹桃の葉のふくらみに
髪切虫がとまっている
向こうの山は青空に輪郭ばかり突き出ている
歩けばそこで光は割れて
頭の後ろへ過ぎていく
ほそい怒りの川筋に
体は重たくうっている
ことばは涸れた
意味は失くしてまた立ち上がる
杉の木立ちをよけていき
えび根の花に目をくれて
一切は過ぎ抜けてゆく
口を結んで
一切を過ぎ抜けてゆく
稲を刈る人々に紛れて盲いは踊る
赤錆の刃を振りまわし
黄金の実をはねかして
耳つぶれ
手足捨て
朝を見張る 一つの石像だ
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