あさ/……とある蛙
薄明かりの中
今日の一日がはじまる
何のことはない
いつも通りだ
いつも通り目が覚め
いつも通りトイレに行き
いつも通り猫と挨拶をして
いつも通り顔を洗い
いつも通り歯を磨き
いつも通り猫に餌をやり
いつも通り猫砂を掃除し
いつも通りテレビのスイッチを入れる
一日の始まりは
女房への挨拶ではじまる
女房は早起きで
ベットで上半身起きたまま
窓の方をじっと見ている
いつ頃からだろうか
表情が少なくなったのは
ほんの半年前からだ
そしていつも通り
女房と話すが
頭が痛いと言って彼女は横になる
そのまま彼女は眠りに落ちる
おいてけぼりにされたまま
まんじりともなくニュースを見ている
昨日爆発した御嶽山の頂上附近には
心肺停止の人たちが何十人も残されたままで
いつ頃からだろうか
涙が出る
その人たちのためではない。
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