白と灰の実/木立 悟
 




明るく狭く
ひらかれた場所へ
漏斗の霧がそそがれる
やわらかく 蒼く 
もろい立体


雪が触れる
影が触れる
常に常に
泣いている片目に
うたを塗す


左を多めに塗られた音が
ひと筆分だけ跳ね上がる
渇きを知らない夜の瞳
背と床のはざまに消える羽


鈴の音がして
見つけられない
霧の音は傾き
地に跳ね返り 空へひろがる
鈴の音はまだ
見つからない


白い実りに埋もれた樹が
水辺にひとつ立っている
白が灰になる頃に
実の陰の花の蒼が見える


夢が耳元で叫んでは消え
その理由を別の夢が語っては消える
重な
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