ワインド/竜門勇気
風が夜をたどり
僕の部屋への道を見つけた
何の覚悟もないままで
吹き飛ばされるまでの時間を過ごす
壁ももう何の役にも立たないし
布団をつま先から頭まですっぽりかぶったって
その時が来ればそれまでだ
夜はねじ曲がる
いつもと同じように
眠りや焦りがそこにあって
あんまりにもたくさんの気持ちが
整理も出来ないままに膨らむから
爪を切る
前髪も切る
煮えたぎる視線で
壁を溶かしながら
夢を見る
現実も見るよ
自分の腐った部分なんか
もっとよく見かける
昼のあいだに
しなきゃいけないこと
病院に行ったり
美容院にも行ったり
買い物や食事や
友達に会いに行くこと
夜のねじれを深くすること
風は夜を頼りに
僕の街を目指す
オーロラの裾をくぐっても
悲しくもないみたいだ
僕は壁に囲まれて
布団にくるまって
僕を探す風のことなんか気づかないまま
夢の中でオーロラを揺らす
僕を殺す風と一緒に
夢の中で現実を探す
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