博士論文完成/
瀬崎 虎彦
長い時間を費やした仕事を
さきほど終えて
おおこれが燃え尽き症候群かと
ひとり悦に入っている
失ったものが多い
損なったものも多い
こんな面倒なことにかかわらなければ
もっと楽しい十年だったかもしれない
けれどやらないという選択肢は
きっとなかったのだろうし
やらなかったらやりたかったといったはず
螺旋階段をのぼりつめた
そんな感触を覚えて
いま無性に飛び降りたい
戻る
編
削
Point
(0)