快速処方箋/ただのみきや
 
ない物忘れが激しかっただけの老人たちが
ぼんやりと煙のように消えて逝くと物語は脱線を始め
車窓から一斉に櫂を突き出して電車は次元を超えて往く
ワームホールの向こう側でヤスデはミミズと恋に落ち
超新星の爆発的祝祭のもと天使たちも錐揉みしながら落ちて往った
その果てに 水中に燃える古い駅舎がある
封印された恋情を物語の中の友情に置き換えた
年老いたジョバンニはカムパネルラを捜し彷徨っている
少年という小箱へそっと仕舞った妹を求め無垢な修羅がやって来た
ああカムパネルラの首筋に激しいキスを 修羅に渡してなるものか
逃げよう! これを読んでいる誰かの頭の中へ
ポイントを切り変えて文字
[次のページ]
戻る   Point(23)