快速処方箋/ただのみきや
苦行に明け暮れサラリーマンは電車の棚で蛹になった
無関心という制服に包まれたシュークリーム並の少年たちが
耳におしゃぶりを挿したまま喃語と一緒に痰を吐きまくるから
ユニクロを着た老人たちの血圧は上昇し
戦争体験を折っては飛ばし始めたがいっこうに届きはしなかった
こんな話は聞かせたくないと赤ん坊は泣いて母親の耳を塞ぎ
車内アナウンスはただただ弁解と謝罪を繰り返す
ヤスデは重荷だった自分には毒も牙もないからだ
いつもこんな馬鹿げた人間たちを運ばなければならない
月は笑って観ていた娯楽番組なのだ地球は
サラリーマンの脱皮が始まった
未満の蝶は卑猥さをヒラヒラさせながら駄洒落ることも
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