弾道(千鳥足で、無闇に。)/ホロウ・シカエルボク
 
でも誰かが用意してくれた形代に勝手に自分の命を吹き込んで、様々な様式で冷たくなってもらうのだ。死ななくてもいい。狂ってくれるだけでもいい。狂って、何かとんでもないことをしでかしてくれるだけでも。たとえば誰かを滅茶苦茶に殺してくれたって構わない。それでお前の人生は幾らか報われるだろう。少なくともお前はそう感じているだろう。血色の悪い爪を噛み千切りながら。幾つかの有意義な眠りを放棄した真夜中に親指の付け根で痒い目を擦りながら。鏡を見てみろ、見飽きてるだろうけど。もう一度ちゃんと覗いてみるがいい。ほら、お前の目は歪んでいる。右目と左目が仲違いをしたかのように少し離れている。右目のほうがより強くそのことに
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