弾道(千鳥足で、無闇に。)/ホロウ・シカエルボク
 
でいることさ、その完全な暗闇の中に、存在の説得力とでも呼べそうなものを含んでいやがるのさ。お前はその穴ぼこの気配を時々身近に感じて、そしてその中に落ちていく瞬間のことを考える、俺は悲鳴すら上げないかもしれないと…そこに落ちるのは仕方が無いことなんだとそう考えてしまうのだろう、と。その穴ぼこにはそれだけのヴィジョンを克明に描かせるだけの説得力がある。誰もそこから逃れることは出来ない。手にした物語や、偶然目にしたニュースや、あるいは自分でだらだらと書き連ねたものの中に誰かの死があったとする。そんな時お前はこう考えるのだ―こいつは俺の代わりに死んだのだ、こいつは確実に俺の代わりなのだ―と。お前はいつでも
[次のページ]
戻る   Point(2)