宇宙の青白い光/吉岡ペペロ
もうすでに決断したことを
髪をすいては決断するように
女はその長い髪をなんどもなんどもすいていた
宇宙の青白い光を見つめながら
宇宙の青白い光に見つめられながら
長まわしの映像が切り替わるたびどきっとした
この世界の情報量の多さに打ちのめされていた
皮肉や逞しさや残酷に打ちのめされていたのだ
車やバイク、町の音
吹く町の風に飛ばされそうだった
ぼくは工事現場に捨てられた吸い殻のようだ
少年のころ覚えた歌を口ずさむ
目が赤く腫れてくる
ひとすじの鼻水が流れる
ぼくのような能力のない人間は
生きているだけでトラウ
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