蓮池/アラガイs
 
きく反り返る月
周囲の池には薄桃色の蓮の花が咲いている
水平と蒼く/切れた線に鏡を近づければ
紅く顔は腫れ上がり
倒れかけたわたしは思わず柳の小枝につかまった
疲れはて、しばらく蓮の花に魅力されていた
すると、尖ったわたしのあたまの先がみるみるうちに消えて
もう一度、よくよく眼を凝らせば
それはさざ波の
、朧気に延びる一筋の藁
わたしはひかりに誘われて池に沈む
膝を抱えて
・・・恍惚と阿に沈む
珠の泡が浮き上がる
頭が垂れたのだ
水中を伸びた蓮の茎が笑う(如何にも念仏を唱えるように)
見渡せば
金色の襖と霞は開き
底はまさに人間たちの棲み家だった 。









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