ノート(冬双葉)/
木立 悟
枝の上の雪の顔
溶けては積もり
同じ顔になり
じっと空を見つめている
生まれる雪を見つめている
屋根の雪がまだらに落ち
鴉はそれに合わせて唱う
屋根から屋根へ
唱から唱へ
鴉は雪になってゆく
雪の高さと広さを見つめて
雪とともに落ちてゆく
あんなに空に近いのに
両腕をひろげた悲しみは
地を歩きつづけるものに似ている
夜の雲の声
交わされるとき
冬はふたつ すぐそばにいて
言葉は雪を知っている
言葉は唱を知っている
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