幽霊/梓ゆい
 
通り過ぎた足音に連れ去られ

この世の全てから誰かが消えた・・・・。

それは、助けを求める声さえも無視をして

「何もなかった。」という一点張りのまま

天袋だけを見つめている・・・・。

(怖イト言ウ気持チヲ持チ続ケタママ、死ヲ待ツガ良イ・・・・。)

そこにいるのは、罪人を責める事も無い

100メートル後ろを付きまとう

己の影・・・・。

洗面台の鏡。

一瞬だけ、扉が開くエレベーター。

カラスがつついた生ごみの袋。

レンズからはみ出る、視界の端。

近寄ることも無く

離れることも無く

取り忘れのつり銭をあさりながら

出方の見えぬ奇行を繰り返す。



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