定刻のつかの間に/番田
空を見上げた
目の前にはないが そこに自分が
生きていることを認識させられる木が生えていた
海の中でも 生きていける木だと 目を閉じた
出かけるときに心の中で土を思う
水に潜っても 仕方がないと テレビを消す
そして 歩き出した でも 腕を組む
歩き出すときいつもそこにいる誰もが立ち止まるように
吊革をてばなす だけど 立ち止まる
仕事をするときにそこにはいない誰かに背を向ける時
目を開く 月の頭の 月曜日
時の止まらない電車の中で
僕は 券を買う そして イスに腰掛けた
エレベーターは スクリーンの中 立ち止まった僕は
僕のエンディング間際で組まれた足を頭の中で思いながら
映画を見ている いつまでも はじまらない映画を
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