砂州/草野春心
 


  蜻蛉は交尾をおこないながら
  我々の視界に掻き傷を残して飛ぶ
  川沿いに歩きつつ、我々は幾つかの砂州を見る
  明日にはまた違う形に変わっているだろうか



  まだ我々の幼いとき、
  生きることと死ぬことに関して、日がな一日
  躯の至るところで交わされた 哲学めいた問いと答
  我々はおそらくその中間を歩いているが
  どちらからどちらへ向っているのか



  陽射しが緑のなかに飛びこんでいく
  だがそれは鳥だったのかもしれない
  だがそれは風だったのかもしれない
  それを知るために 我々は 出会うのかもしれない



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