夜毎 夜迷/
木立 悟
無色の夜を頭に被り
海辺の街はじっとしている
雪に捩れた橋の上を
脚のない平和が通りすぎる
息を吸えば螺子
息を吐けば発条
雨は雨の横顔を
常に向き合うように空へ放つ
傘の群れが地下道に吸い込まれ
何処かへ何処かへ消えてゆく
波が波に触れるように
雪はふたたび雪に降りる
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