孤独に学ぶ/ドクダミ五十号
 
それにしても遠くまで
神田の古本屋街
電車賃を足したらぜんぜん安くない
なるほどねえ
学びの為の資料は安くない
おまけに店主の狡猾さ
ソレに負けない
「どんな本がお入り用かね」
「醸造関係の本です」
当時私は自家醸造をしていた
顕微鏡まで買って
どうにも上手くかもせなかった
だから
糖分のある
身近なあらゆるを試した
でも挫折した
だから求めたのだ
「これはどうかね」
それは「高湿度下と高温下での醸造」と言う本
「これは君の意にかなうんじゃないか」
「それにこいつは希少本だ」
装丁は粗末
私製本の臭いプンプン
「内容を少し読ませてくれ」
酵母を選びなさい
高温多湿な環境で
パンでも同じ
酒でも
醸造の基本は

買ってしまった
帰りの電車賃を店主はひいてくれた

専門書で学ぶ
独学の基本だと思う

インターネット以前読書は最強の知識獲得の手段だった
知識を知恵にする
まずは入り口だよ
どんなに狭くても


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