fool around/楽歌
「だって、本当はもっと単純で簡単なのに。」
そう叫んだ君の言葉は幾つもの鋭利な錐となって
我々、数多の詩人の手の甲を刺し貫いた
いつだって自分が愚かさの具現であることを信じて疑わない我々は
流れ出るなまぬるい朱色が筆先に辿り着くその前に
この色で何を描くことができるのかを考えている
破れたジーンズの膝小僧の辺りで
いつか深く負った傷がじんじんと疼きはじめる明け方に
朝焼けを切り取った窓枠から飛び立ちたいと、衝動
すっぱだかで、
きみのおなかのうえで
きみのことばにだかれて
きみのことばのなかで
おれのことばをしゃせいして
ああ、おれらはことばになっていくんだなぁ
「つうか、わけわかんねぇよお前ら。」
そうぼやいた君の言葉が
いくつものしゃぼんになって
くせっ毛の前髪をゆるやかにすべりおちて
まぶたの上でまつ毛にのれずにはじけた
零れてしまった、にじいろの涙が頬に道を作るから
そこに、どんな言葉を歩かせたらいいのか
そんなことばかり、考えている
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