太陽と背伸びする乙女/ヨルノテガム
 




 山脈や湖が私の臓器である
 海流や雲海が指先から皮フに走り寄せる
 各地の毛細血管で猫が平和に
 寝ている欠伸している
 私は月の鏡を覗きこみ、睫毛にこんもり
 オーロラを載せてオシャレをきめる

 誰か
 星々と糸をつなぎからませ
 誰か
 空へ涙零し大気圏まで青く潤す
 私かしら
 地上の花畑をイヤリングに
 私かしら
 四季を奏でる風の便りをドライヤーで
 髪に撫でつけ記憶する
 あの太陽も見てるかしら
 私のこと

 時が来れば
 太陽は私を奪いにくる
 私は私から
 もう一つの
 地球を産み落とすよてい
 巨大な脚が生え
 巨大なマグマを吐き蓄え
 巨大な目をみひらいて
 笑ったり悲しんだりは
 もうしないのかもしれない







戻る   Point(5)