てんとう虫/
千波 一也
ほんの
小指のつめほどの
ささやかな背に
滑らかに乗る
勤労の
まる
悠長に
せわしげに
その身に負わされた太陽の名を
あちらこちらへ
振りまいて
唐突に
発つ
自分勝手な一部始終に
自分勝手に癒される
たまたまの午後
わずか
数秒でも
ほほ笑めたなら
かの虫はそう
確かな
光
欠落に射す
けなげな御守り
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