伝えたいことは何もない/中村 くらげ
何も伝えたいことがなくて
言いたいことがなくて
それでもなぜか詩を書いている
原稿用紙2枚分のノルマを
会話文で埋め尽くす小学生のように
根底には何もない
言いたいことは何もない
それでも詩を書く手は止まらない
何も伝えたいことがなくて
言いたいことがなくて
それでも声嗄らし叫んでいる
原稿用紙2枚分の行間(スキマ)を
1マスずつ読み尽くす浪人生のようじゃ
この詩は読み解けない
伝わるはずなんかない
それでも叫ぶ声は止まらない
何十回 何百回 何千回 繰り返したところで
伝えたいことはないからしょうがない
何十回 何百回 何千回 読み返したところで
伝わらないものはどうしようもない
でも何度でも繰り返す
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