ミルキーチッツ「アゲハ色」/花形新次
 
空一杯にアゲハ蝶が飛んで
アゲアゲだった夕暮れ
川沿いで働く貴女に会いに行く
僕の心もアゲアゲだった

僕の分身達が
貴女のアゲハ蝶によって
2時間後
この世界へと導き出され
排水口から
川へ流れ
やがて海に着く頃には
空はもう
真っ暗になっている

悲しみアゲハ色

来年の今頃
僕の分身達は
この場所に戻って来るのだろうか

(ミルキーチッツ詩集「生殖」より)



戻る   Point(1)