動乱(真夜中にこそ放たれる)/ホロウ・シカエルボク
 





夜はまるでペテンのようで、目に映るものすべてがいけ好かなかった、齧りかけの林檎は放置された他殺体みたいでもう口にするつもりなどなかった、脳味噌にしのびこむサッドネスの形態はタペストリー、揺れながら裂傷のような影ばかりを残した、それを示唆と呼ぶのなら多分そうなのだろう、狂気が垣間見せるヴィジョンはたいてい意味ありげに見えるものさ、それはきっと解読することが出来ないからだ、そうだろう、そうじゃないのかい、だからこそそいつにはきっと価値があるんだ、容易いものを美徳とするやつらの中にいると、精神はそれだけで磨耗してしまう、吹雪の中で凍え、眠りながら死んでいくみたいにさ、停止して投げ出し
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