IllKIllU/凍月
 
一人の僕に
箱舟なんて無い
雨は何故だか降らなかった
地面が割れる日照りの今日は
あなたを失い
死にかけているけど
世界が滅びるまでは結局
神様は現れないらしい
植物の生い茂る野山も同じ
一瞬にして枯れきってしまったようだ
熔岩が流れ出して生命のいない海を埋める
空がぼろぼろと焼け落ちて
真っ黒な宇宙が口を開く
火と硫黄、生贄と水中の都市
独り問う
いつのまにか手の中にあった
銀色のナイフの使い方

僕はきっとあなたを殺す
君が僕の傍にいないのなら
この世からいないのと同じでしょ
今までの感謝を全部込めて
最高の笑顔で君を殺す
ゆっくりと優しく
君の
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