神/山人
「あなたは神を信じますか」
ふいに声をかけられ、振り向くと、若い美しい女が立っていた。
鈴木俊介は保険会社に勤務し、主に災害や火災に適応した商品を担当していた。昨今の地震や水害に対応するべく画期的な保険商品を手がけていたが、なかなか広い顧客を獲得できずにいた。
少々嫌気も差し、退職も視野に入れており、気持ちは後ろ向きだった。まして、妻の不貞があり、すでに離婚が成立し、一人暮らしが一年ほど続いていたのだ。
「はい?あなたみたいな綺麗な人が神なら信じるけど?」
思いっきり意地悪く、皮肉るように鈴木は女を見た。
女は柔和な笑いを浮かべ、言った。
「私は佐伯と申します、ここに次回の会合の日
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