(浅水を弾く)/tomoaki.t
 




私は生物ではなく namamonoとして
装着した本や 海藻を
値引きしたまま歩いて
歌われれば雨に傷つき
切り開かれた体を
地面に縫いとめた



残骸の静寂は綿菓子をほおばった子の歩幅で、暗い重機の鉄塊に骨を抜かれた魚の亡骸と小声で話している。野から海底から、岩が生まれる音の印字をレコードした婚礼が繰り返し自壊している祈りを、星が砂浜を降下していく根が咲き乱れて、ひと息に裏返した空を夜の触覚から膿んだ泡が、波が冷たくて喉をあらった。



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